福文ブログ

広報委員が綴る、福大文芸部の徒然なる活動日記。

 
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李陵

真綿


 こんばんは、真綿です。
 GWも残す所あと一日となりました。なぜでしょう。昨日まではもう少し余裕があった気がするのに……。
 長期休暇って時の流れが速く感じられますよね。なにかの陰謀を感じます。

 さて、いつもは活動の事などを書いていますが、本日はGW中ということもあり活動はありません。
 そんなわけで最近読んだ本の紹介などをやってみようと思います。


 著 中島敦 
 『李陵』


 表紙の画像はありません。なぜなら青空文庫で読んだからです。
 青空文庫というのは著作権の切れた小説などを無料で公開しているサイトで、名作がタダで読めるため僕はちょくちょく利用しています。まあ青空文庫にあるような小説は大抵地元の図書館にも置いてありますから、出かける手間を惜しまなければ別にサイトを使わなくたっていいんですけどね。スマフォで読むのって、目が疲れますし。
 
 そんなことは置いておいて小説の話です。
 この『李陵』というのはあの『山月記』で有名な中島敦によって書かれたものです。『山月記』は高校の教科書で扱われており、読んだ方も多いのではないでしょうか。
 中島敦は短編を多く遺した作家で、この『李陵』もそんな長くはありません。『山月記』と同じように中国のお話ですが、こちらは実在した漢時代の武将、李陵について書かれたものです。


あらすじ
 漢は武帝の時代。
 李陵は遊牧騎馬民族、匈奴との戦に臨みますが、若い彼の下につくことをよしとしなかった老将軍の讒言により、匈奴数万の軍勢に僅か五千の寡兵で挑まなければならなくなりました。李陵は善戦しますが、とうとう敵に捕らえられてしまいます。匈奴の王は李陵の戦い振りにほれ込み、生かして傍にとどめました。
 一方漢では、李陵が漢を裏切り匈奴についたとの噂が流れます。人々が李陵を罵る中司馬遷だけが李陵を庇いますが、怒った武帝は彼を宮刑に処してしまいます。 
 その後誤解のために家族を武帝に殺された李陵は遂に匈奴へ骨を埋める決意をします。
 また、匈奴の地には蘇武という名の漢の武将が捕われており、彼は李陵の友人でした。匈奴の地で蘇武と思わぬ再会を果たした李陵は、彼の揺るぎない漢への忠誠を目の当たりにし、冷や汗の出る思いがします。 
 蘇武はやがて漢の地へ帰ります。その時李陵は、天はやっぱり見ていたのだ、と思ったのでした。


 
 あらすじで大分ネタバレした気がしますが。
 でも『李陵』は歴史小説なので、最初からネタバレされているようなものなんですよ。

 この小説の中心人物は三人います。李陵と司馬遷、そして蘇武です。
 李陵は悲劇の人です。漢と匈奴で板挟みとなり、苦悩に満ちた人生を送りました。彼の葛藤こそがこの小説最大の見所でしょう。彼は匈奴に生きる決意をしますが、蘇武の存在がその選択を簡単に許してくれません。やむを得ない事情があったとはいえ結果的に漢を裏切った李陵とは違い、蘇武の忠義を貫くさまはいっそ愚かですらあります。
 司馬遷もまた悲劇に見舞われます。司馬遷は『史記』の作者で、司馬遼太郎のペンネームの由来ともなった人物です。彼は李陵を庇う発言をした際、死刑を覚悟します。しかし武帝は彼に死よりもつらい辱めを与えます。司馬遷は抜け殻のようになってしまいますが、『史記』の編纂という理想のために生きることを決意します。

 とまあ、中身について色々書きましたが、僕がこの小説を読もうと思ったきっかけは、中島敦の文章を読みたかったからです。個人的な印象ですが、彼の文章って格好いいんですよねえ。漢文的というか。お手本にしたくなります。内容も面白かったので大変満足でした。
 以上真綿でした。

          子供の日全然関係なかった……。

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